主な登場人物

主人公 安本 丹
稀代のストイックな変人。S病院の常連アウトペーシェント。クリップアーティスト。胡坐をかいてインターネットのIQテストというアホなことを行ったところ、たまたま140と誤った高い数値がはじき出されたのを信じて周囲の人に俺はIQが高いぞと嘯いているアラカンのチョンガー。実は胡坐をかいて計ったので本当はIQ70のハズが2倍の140という結果になっただけ、これを医薬用語でバイアグラという。それを鵜呑みにした極めて能天気な奴。彼の部屋にはカップ麺、スナック菓子、炭酸飲料などジャンクフードが常に無造作に散乱していてしかも万年床で足の踏み場もない。それだけならまだしも春から秋にかけて天敵のカメムシの大群が窓を閉めきっていてもアルミサッシの隙間から侵入してくる。彼の部屋は二階の八畳の和室で、毎週一度の訪問看護などで看護師等の来客があるのでちょくちょく片付けはするが掃除機をかけるのは床にインスタントコーヒーの粉末などをこぼした時ぐらいという横着ぶりである。築40年ほどの、今は亡き父が建てた自宅は畳が赤茶けて丹の自室はかつてチェーンスモーカーだった頃、寝たばこが原因で畳の上に敷いたビニールのゴザに所々焼け焦げて穴が開いた跡がある。部屋の東側の明かり取りの窓辺の敷居には大量のカメムシの死骸がてんこ盛りで放置されたままになっている。二年前自宅のトタン屋根が錆び付いたので塗装業者さんに屋根の塗装を依頼した時、塗装業者さんが一階の窓の庇の上の大量のカメムシの死骸を見てか「何だこりゃ」と絶叫していた。まるで太陽にほえろのジーパン刑事役の松田優作が殉職する、今わの際に残した名台詞を彷彿とさせる昭和の刑事ドラマの時代にタイムスリップした錯覚を覚えさせられるが彼はそのことに関して全くお構いなしでカメムシを食料にしている国も世界にはあるという事を周囲に吹聴している。その上ファッションにも無頓着でいつも坊主頭に無精髭、10年以上は着古しているグレーのトレーナー姿という風貌、自宅では終日パジャマ。しかし生来の怠け者で、かなりずぼらな彼でも、ことお金のこととなるとかなりシビアに性格が豹変してパソコンとタブレットで表計算ソフトのエクセルを駆使して、今月の小遣いはいくら残っているのかとか来月の今頃は懐にいくらお金が残っているか2ヶ月後は?3ヶ月後は?とかシミュレーションを繰り返してお小遣いを管理している。それだけで飽き足らず100円ショップのセリアで買った金銭出納帳に毎日几帳面に金額を記載して年金生活をしているにもかかわらずお金には不自由なく節約生活を心掛けている。それ故に無職でありながらクレジットカードの審査を正直に申告しても通ってしまう程、金銭管理に関してだけはタダモノではない才能を自負する。また他には何の特技もないような彼だが唯一の趣味というか長所はインターネット関連で情報収集能力に長けているという事だろう。そのためI県N町の自室に居ながらにして関東や関西のテレビ番組が楽しめるのである。パソコン3台、複合機2台、テレビ2台、その他4:3のパソコンディスプレイ、i pad pro 、Fire TV Stick、 Android TV Box、FAX兼直通電話番号のIP電話であるBBフォンなどなど枚挙に遑がない程で例えて言うなら彼の部屋は東京都電子八畳島状態でwifiも完備されていてノートバソコンにはUSB接続のFAXモデムも装備されているのでWindows Faxとスキャンまたはエクセルやワード等から直接ペーパーレスでのFAXの送受信が可能なだけでなく複合機による紙媒体によるFAXも可能なので10年位前で言うSOHOすなわちスモールオフィス・ホームオフィスを凌駕する環境が整っているうえに会計ソフトの「やよいの青色申告21」も完備されているという徹底ぶりで初めて彼の部屋を訪れた人はタコ足配線の凄さに驚愕する。しかしながら、それらの電子機器類は極めて僅かな待機電力消費量ですので火災が発生するという心配は全くないのです。話は変わってM市に高名なヘッドシュリンカーがいると評判の精神病院があるのでということで入院して友田医師の診療を受ける。友田先生とは彼がI医科大学附属病院に入院していた時からの知り合いでかれこれ十数年以上の付き合いになる。
当時の丹は、たとえて言うなら時代劇の水戸黄門の悪代官と悪商人を足した以上にも劣らない腹黒さで、それが一因で体調を崩したのを責任転嫁して薬が効かないのは一回の薬の量が少なすぎるんだろうと素人考えで飲み忘れて残っていた大量の薬を一気に飲み過ぎて意識を失い病院に救急搬送され胃洗浄してもらったら腹黒さの原因の大量の胃の内容物が怒涛のように全部洗い流され真人間に戻ったが非常に危険な荒業なので決して真似をなさらないように。
その件を機にI医大附属病院からS病院の患者となる。友田先生のS病院では入院中にリハビリの一環として作業療法の時間があるのだが、丹は“お絵描き”と称して病院の書棚から女性ファッション誌や週刊誌のグラビアなどを物色し、しかつめらしい顔つきをしてスケッチブックに向かい鉛筆や色鉛筆でファッションモデルや有名人の似顔絵描きに没頭。納得のいく似顔絵が描けるとドヤ顔で病棟のスタッフや他のペーシェントたちに自慢するが、みなさんドン引きしてしまうぐらいエキセントリックである。その絵は客観的に見ると確かに特徴を良く捉えているが野性的でサイケデリックな雰囲気を醸し出すのは彼が精神疾患である統合失調症に起因するかは定かでない。何れにせよ大学病院で数回に亘り綿密に検査した結果、脳には全く異常は見受けられないという診断結果から精神疾患との関連性は全くないのではないかという見方もある。

 

 

 

 

 

友田先生

 

 

 

50歳ぐらい小柄で恰幅のいいヘッドシュリンカー。安本とは医大で研修医の時から顔を合わせている。当初は安本の主治医ではなかったが後に主治医に。その後医大を離れることになっても安本と友田先生はS病院で関係が続く

 

 

 

嶋田院長
いつも陽気でダンディーでお洒落で裕福なおじさまに見える。その実態は…

 

 

 

合気道倫

 

 

 

S病院の作業療法の先生。名前が示すとおり合気道の達人で県大会準優勝した経験があるとか。

 

 

 

友田邦衛門 

 

 

 

友田文衛門先生の兄でS病院の音楽療法士、キーボード演奏の名手で県内を東奔西走、運動神経も抜群。

 

 

 

エラリー 年齢不詳 謎多し

 

 

 

一見、I県の県庁所在地M市坂菜町にある薬局のお洒落なお姉さん。しかし、その実態は警察庁公安課の秘密警察のナンバー2。その彼女がなぜ長閑な地方都市I県M市なんぞに極秘裏に滞在しているのか?読み進んでいくうちに次々と全貌が明らかになっていく。

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